しばらく疎遠になっていた俺たちは
以前のテンションとは違っていた。

どこがという訳ではないが、
なんとなくそう感じた・・・

ミックも

「それじゃ最後だから
グッバイ・パーティーでもやろう!」

とは言わなかった。


「日本に来たら連絡ちょうだい。」


俺は最後にそう言って、
ミックとハグをして別れた。

その時の俺は
「また合えるから、まーいっか」
という気持ちで深くは考えなかった。

その後、パッキングを済ませ、
このフラットでの最後の写真を取った。

ここでの思い出も沢山あったが、
やはりミック達4人で暮らした

フラットの方が期間は短かったが、
より心に残っていた。

このフラットにも別れを告げ、
車を走らした。

ケアンズを出るまでの間サマーの家族と
過ごしたが、居心地は悪くなかった。

特に気を使う事もなく居られた。

母親のジュリーはいつも


「自分の家だと思ってリラックスして!」


と言ってくれたからではない。

肌で感じるのだ。

いくら言葉でそう言われても気を使う相手
には自動的に気を使ってしまうものだ。

逆にそう言われなくても気を使わない相手
であれば自動的に気を使わないで済む。

ジュリーは不思議な人だった。

俺にすごく気を使うが、なぜか俺は
ジュリーの前ではリラックスできた。

冷蔵庫も断らずに開けられるようなった。

その時は自分がラッキー
だとは気が付かず、オージーって
みんなこうなのかと思っていた。