ドナルドが低い声で「いいから」
と言ってその千円札をZZトップの
ポケットに無理やり押し込んだ。

しばらく2人は押し問答していると
ドナルドの美白がだんだん流れ出し、
日に焼けた小麦色の肌が見えてきた。

そして完全に白い部分がとれ、クロンボ大会で
優勝したチビッコの様になったドナルド。

ここで俺はハッと目が覚める。

そして俺はいつも思う


「なぜ夢ってこんなに突拍子のない
ハプニングなんだろう?」


「こんな展開誰が予測できるだろうか?」


「ドリーム・シアターだって
こんな複雑な展開しないだろう!」


すっかり過去の夢に思い出し笑いをしていると、
これがちょうど良かったのか3分間の
「Happy Birthday To You」は終っていた。

それに歌われている時はどんな顔をしていいか
分からなかった俺だが、思い出し笑いで
程よく怪しい笑顔になっていたのも良かった。

少なくとも困った顔よりいいだろう。

俺はローソクの火を消した。

するとおばあさんがまたハグして
ほっぺに軽くキスしてくれた。

サマーのお母さんのジュリーや妹の
クリスティーも同じことをしてくれた。

俺はその時だんだん
心変わりしていくのがわかった。


「お誕生日会も悪くねーな。」


それとサプライズってのは生まれて初めて
だったので不思議と嬉しさもあった。

その後、みんな食事をしながら会話していた。

英語の中に「Tokyo」という言葉をよく耳にした。

話をよく聞いていると、サマーが日本へ行く
ことをみんなで話しているみたいだ。

日本だと娘が長期に海外へ行くとなると
反対されたりするのだが、みんなの表情を見ても
サマーに「およしなさい!」と言う者は
一人もいそうになかった。

やはり日本人は親が子供を
コントロールし過ぎなのか?

それともオーストラリア人が
放任すぎるのか?

それは後にわかってくることになる。