気持ちよくリズムを刻みながら


「う~ん、フィール・グ~ド」


はカッコイイが


「う~ん、きっもちー!」


だと見ているオーディエンスは


「この人だいじょうぶ?」


「そろそろ薬の時間じゃない?」


と、心配されるはずだ。

それじゃ「う~ん、きっもちー!」
を東北弁でやるとどうだろう?


「う~ん、つぃもち~べ~」


なんか昔見た大ハズレの
AVを思い出してしまった。

さんざん妄想してみたが、
やはり日本人の俺には


「う~んフィール・グ~ド」


などと英語でかけ声を掛ける気持ちはなかった。

不思議な事に海外で生活すると
自分は日本人というIDを
意識するようになっていた。

どうしても自分が英語でかけ声をする
イメージができず、違和感を覚える。

かと言って「つぃもち~べ~」
とも言いたくはない。

今、目の前でプレーしている
ドラマーは大いに参考にはなったけど
自分のスタイルではない。

そうこうしている内に自分たちの出番が来た。

俺はドラムに向かいスポットライト
でまぶしかったが、いつもよりだんぜん多い
オーディエンスを見渡した。

バンドのメンバーと一緒にいた俺は
気が付かなかったがサマーが
妹や友達を連れて来ていた。

サマーと友達の一人は俺がステージに上がった途端、
大声で俺の名前を連呼してくれた。