色々な事があり問題もまだあるが
私生活は充実していた。

バンドも毎週日曜日にはジョノス
でプレイしビールも頂いていた。

但しOKバンドはもうプレイ
することはないだろう。

俺達のバンドBJはケアンズでも
だんだん有名になってきていて
新聞に載ったこともあった。

噂を聞きつけたのかエージェント
の連中がちょくちょくジョノスに
見に来るようになった。

ある日ジョノスでラジオのイベントがあり
BJも参加することになった。

BJを含め5組ぐらいのバンドが出演し
その演奏はラジオでも流れるという。

いつもと違う雰囲気、ラジオ局の関係者や
客で店はいつもの倍ぐらい入っていた。

俺達は人をかきわけいつものテーブルに座った。

すると既に他のバンドが演奏していた。

テーブルに着く間もなく、
そのバンドは俺の耳を奪っていた。

そのバンドはファンクではあるが
テクニックがありメロディアスな音だった。

何よりもドラマーが上手かった。

案の定、曲の後半にはソロをプレイし始めた。

凄まじいソロだ。

俺とは次元の違うプレイをしている。

ここで何が次元の違うプレイか
ということを話さなければならない。

ドラムソロをプレイしている間、
そのドラマーはなにやら長い
前髪が邪魔だったらしい。

しかし両手はふさがっている。

ソロも途中でやめる訳にはいかない。

ピンチに追い込まれたドラマー。

さぁ、あなたならどうする?

そのドラマーは何を思ったのか
その鬱陶しい長髪をベロでどけたのだった!


「なにもベロを使うことないだろう!」


「しかもたいしてどけてねーじゃねーか!」