無事離陸し、しばらくすると向こうから三十路を過ぎたであろう日本人スチュワーデスが来た。


「お飲み物はいかがですか?」

「何があります?」

「コーヒー、紅茶、それからオーストラリアのビールもあります。」

「じゃーオーストラリアのビール。」

「ビクトリア・ビターでよろしいですか?」

「はい。」

ラベルにはVBとかいてある。


「大丈夫かなオーストラリアのビールなんて・・・」


無知だった俺はふと思った。

注いでもらったそのビールを「ゴックン」


「うっうまい!何なんだこの濃厚な味は!」


一気に飲み干すと俺は


「あ゛~麦芽が歯に詰まって取れね~」


一人でくだらないことをつぶやいていた。


「じいさん、詰まるわけね~ってツッコんでくれよ。暇なんだからさ・・・」


狭苦しい所で食事を済ませ、当たり障りのない選曲のラジオを聴いているとウトウトしだし、

夢の中へと入っていった。

テレビで昔聴いた話だが、実は夢は一瞬で、8時間寝ていても夢自体は一秒ぐらいしかないらしい。

夢は本来毎回見るらしいのだが、殆どは断片的もしくは全て忘れてしまうらしい。

しかし俺の場合は断片的ということは余りなく、けっこう鮮明に覚えていることが多い。


「夢をビデオに録画できないかな?・・・」といつも思う。


しかも俺の夢は実に突拍子もないフリーキーなものばかりだ。

この時もフリーキーな夢の一つだった。

どうゆうストーリーか一言で言うと、

電気イスのじいさんに恋心を抱き、告白するという異常極まりない夢だった・・・