俺も高校が嫌いでしょうがなかった。

なんとかごまかしごまかし
卒業はできたが毎日が苦痛だった。

周りはヤンキーかファミコン少年ばかりで
話の合う音楽好きが少なかった
というのが大きい理由だった。


「クリスティーたまに呼んでいい?」


サマーが頼むような表情
で言ったので俺は


「いいよ。」


と答えた。

それからというもの
クリスティーからよく電話が来た。

俺が義兄づらで

「話してごらん、なにがあったの?」

と聞くと苦笑したように

「だいじょうぶ・・・See Ya!」

と電話を切られた。

たぶんクリスティーは
話しても理解できないのに
「話してごらん」と言い切った
俺に苦笑したにちがいない。

数日後、その日は仕事が
なかったので昼近くに起きた。

ベッドから起きるとリビング
からテレビの音が聞こえる。

恐る恐るリビングを覗くと
クリスティーと友達がいた。

ビックリした俺に
突然クリスティーは


「オハヨウゴザイマス!」


片言の日本語でで叫んだあと、
冷蔵庫から獲ったものをくわえ、
逃げるようにして去って行った。


「カワイイとこあんな!」


「しかしどうやって入ったんだ?」


なんてことない、
俺の知らない間に合鍵をサマーから
受け取っていたクリスティーは友達と
家へ勝手に入り冷蔵庫から
アイスやらパイやら食べていたのだ。

またある時は俺が寝ている時に
外から窓を叩きながら


「ヤッキー!ウェイク・ア~プッ!」


と言って、
からかいながら逃げていった。

「ヤッキー」とは
汚いとか気持ち悪いという意味で
「アキ」を文字って使っていたのだ。

まだ茶目っ気のある17才、
怒ることよりも自分にカワイイ妹が
できた感じでなにか嬉しかった。

まだ、たまに学校はサボっているが、
家にはちゃんと帰っているようで安心した。