ビデオデッキとテレビは引っ越の時に
レンタルしたものだった。

なぜレンタルしたかと言えば、
いずれ日本に帰ることはわかっていたし、
とにかくレンタルが安かったのでそうしたのだ。

しかもそのビデオデッキは日本のNTSC方式のテープも
再生できる代物だったので、すぐそれに決めた。

ということで兄貴に頼んでおいた探偵物語が
本日到着したので、早速深夜まで楽しんだ。

そんな事を1週間繰り返していた頃だろうか、
その日俺はまたビデオ屋に行っていた。

サマーにはすぐ帰ると言い残し夜8時頃出ていた。

その日は音楽モノが多いビデオ屋があるという
噂を聞いていたアーヴィルまで行く事にした。

噂通り豊富な品揃えと火曜日はビデオが
全て$1だったのでかなり長居してしまった。

2時間ぐらい居ただろうか、
すでに夜10時を回っていた。

しかし特に俺は焦ることなく家路に着いた。

するとフラットの前にミックとミキが居た。

なに事かと思い運転席の窓を開けた。


「どうしたの?」


「どこ行ってたのよ!」


ミキが険しい顔で問いかけた。


「サマーが心配してたよ!」


「ほんと?」


俺はまだ平然としていたがドアを開けた瞬間、
サマーは泣きながら俺の胸元を殴りつけた。


「ゴメン!ゴメン!」


サマーの肩を抱こうとした瞬間


「触らないで!」


泣きながら寝室のドアをおもいっきり閉めた。


「バタン!」


ミックとミキは目をテンにして見ていたのた。


「悪かったね。もう大丈夫だから・・・」


ミックにも「ソーリー」と謝った。