ミキも仕事を始め、
俺とミックも職場は今では違う。

以前のような生活ではなく、
パーティーも前ほど参加しなくなり
ミックとミキに会う機会も少なくなった。

サマーは仕事で朝が早いので夕食を
食べると寝る態勢に入ってしまう。

サマーは完全に朝型人間で、
朝から歌を歌うほど元気良いが仕事を終え、
夕方になると機嫌が悪くなる。

ベッドに入るのはだいたい夜8時くらいだった。

俺はサマーが寝るまでララバイ
の様に色々な話をしてあげた。

特に戦争の話や歴史の話をした時は
異常な速さで就寝しやがった。

俺は完全に夜型人間で、
朝はめっぽう弱いが夜ともなると、
いくら寝不足でも深夜12時を回ると急に目が覚める。

やはり違う環境で育った2人が
一つ屋根で過ごすとなると、
生活のギャップが生じてくる。

俺は東京で育ったので深夜2時に出歩いても
外には人もいるし、店も開いている。

サマーはケアンズという田舎町で育ったせいか、
深夜に出掛けることもないし、
店も夕方5時ごろには閉まってしまう。

もちろん中心街へ行けばレストランやバーは
遅くまでやっているが、近くの店は5時には閉まってしまう。

サマーを寝かしつけた後、
俺はレンタルビデオ屋でビデオを借りては
一人でさびしく見るのが日課になっていた。

さびしければミックとミキと一緒に見れば良いのだが、
俺一人で行くのが気が引けた。

まず第1にいきなり行って「愛のカタチ」
を見せ付けられるのはごめんだからだ。

第2に俺のテイストと合わないと思ったからだ。

俺は映画は借りず、音楽モノのばかりだった。

何度か映画館やドライブインシアターへも
行った事はあるが、ほとんど理解できなかった。

もし映画が好きで英語も完璧に理解
できたら頻繁に映画館に足を運ぶだろう。

なぜかと言うと毎週火曜日は
$5という破格の値段だからだ。

しかもドライブインシアターは2本立てだった。

もちろんドライブインシアターも初体験だった。

まるで青春映画のアウトサイダーで
見た風景がそこにあった。