こうして俺たち4人は別々に住む事になった。

フラット探しはサマーに任せてあった。

日本人のワーホリはジャパンマートの
シェアメイト募集で見つける事が多いが、
地元の人達はほとんどの場合、
新聞で探すのが常識である。

サマーが仕事から帰ってきては
新聞で見つけたフラットを見に行った。

日本では実現できなかったアパートで同棲、
ケアンズに来て以来初体験ばかりだ。

俺はどんなフラットでも良かったのだが、

サマーは家具が付いているのか?

ナイフ、フォーク等は付いているのか?

丹念に物色していた。

日本では引越しには自分の家具やら
食器やら持ち込むのが常識だが、
オーストラリアではほとんどの場合
フリーファニッシャーと言って
ベッドはもちろん家具、食器、
冷蔵庫まで付いているのだ。

旅行好きなオージーらしいシステムだ。

しかも水道代は大家もちなので助かる。

もちろん電気代や電話代は自腹。

敷金はあるが、礼金なんてふざけたものは無い。

日本では家賃を払ってあげるのになんで
お礼をしなければいけないのか疑問である。

しかもそれがいまだに続いている事に驚く。

敷金も一ヶ月分程度払えば即入居でき、
懐の寂しい俺にもやさしい。

家賃の支払いは週単位で支払う。

俺とサマーは何軒目かのフラットに決めた。

そこはフリーファニッシャーで全てのものが
揃っていて買うものと言えば枕と毛布ぐらいだった。

ベッドルームが1つ、リビングにキッチンが
付いている1DKタイプのフラットだ。

ベッドルームと言っても日本人の俺からすれば広く
キングサイズのベッドがどーんと置いてあった。

おまけにプールまで付いて1週間$140ドルだった。

当時のレートで1$70円だったので1万円に満たない。

1ヶ月4万円ぐらいだ。

それを俺達は割り勘で払っていたので
1人2万円ぐらいで済んだ。

一人で部屋を借りていた時は1週間$80
だったので経済的にも楽になったし、

なにより誰にも気兼ねなく生活できるのが良かった。

しかも初めての同棲生活。

若かったせいか不安などなにも無かった。