その後、俺は前と同じように毎日サマー
の部屋へ寝泊りするようになっていた。

そして毎晩


「東京はイイ所だぞ~」


とか


「ディズニーランドもあるし!」


とセールスを始めていた。

日が増すにつれ


「一ヶ月だけでもいいから来れない?
お願いしますよ・・・」


「あと洗剤2本付けますから!
巨人戦のチケットもあげましょう!」


と、新聞の勧誘の様にせまった。
そのせいかサマーはしだいに
東京について質問するようになった。


「東京って人いっぱいなんでしょ?」


「公園はあるの?」


「空気きれい?」


俺はその質問に思わず


「あ゛~東京の排気ガスが恋しい~」


と、つぶやいていたが、口に出すことはできず・・・


「ケアンズみたいに海はあるの?」


「うん!東京湾のどす黒い
ドロドロしたやつなら・・・」


「どす黒い?」


「やばい・・・」


こんな感じでサマーはロンドンより
東京に興味が出てきたようだった。

俺はしめしめと思ってこのまま
東京のセールスを続けた。