バランスの取り方もいつもと変わらない。

 と、安心しかけた頃だった。谷川を渡る黒い影が矢を放ってきた。なんでそれが矢だとわかったのか、答えは竜姫さんの背中。

「ディノーディアさん、怪我はない? ガナッシュ、ねえ、見えないところに傷はない? どこか痛めてない?」

「ねえよ。オレがんなヘマすっかよ」

 額めがけてチョップが飛んできた。あたしはそれをよけ、リーダーであるグリフはきっぱりと言った。

「じゃあ、逃げよう! 全力で!」