天翔る奇跡たち

 

 あたしは、何事にも落ち着いていたいの。

 きっとそれが、この世界で生き残るのに、必要なことだと思うから。

 でも……ガナッシュはこなかった。

 そりゃそうよね。

 ご飯作ってるんだものね、金竜さん達の。

 けど、なんかあたし、なんでだろう。

 ……手持ちぶさたっていうか、さみしい? ていうか! ありえないよ、あの人がいなくて寂しいなんて。

 うんうん、絶対、ない。

 でもあたし、いつも、何にでもツッコミを入れるガナッシュが、じつは気に入ってたのかもしれないな……

 でも、彼がいなくて寂しいんじゃなくって、心が寂しいあたしだから、彼の存在を好もしいと感じてしまうのかもしれない。

 構って欲しいだけなのかも。

 今までの会話の内容もぶったぎりで顔が熱くなってしまった。

 恥ずかしいな、もう。

「ども。えーと。ですが、どうもわたくしに金竜さん達のお世話は、その。正直荷が重い、というか……厳しいです。はい。申し訳ない」

 ベビーシッターが慣れていない、というわけではない。
 
 むしろいっつも。

 だからかなあ、「余計に」彼らのギャップに驚かされてしまうっていうか。

 たとえばよ? フツーにお世話されてるお子さんはね、オトナを「ずるい」なんて言わないの。

 試したりもね。

 せいぜいが「本が気にくわない」とか、「馬になれ」とかそういう程度の、まあ、「あそんでー」ていう攻撃がほとんどなのに。

 金竜さん達は違う。

 まるで悪ガキだ。

 目つきは鋭いわ人を引っかけるわ、手に負えない。

 はあ。

「さすがですねえ。いえいえ、精霊を仲間になさるなんて、徳の高い方なんですねえ。一緒の方々もプロフェッショナルというか」

「いえい、え。というか、ハイ?」

「はぐれもののバード達をこっそり確保しておいてくださったり、とか……これでも感謝しておりますんで、とても助かりましたよ」