天翔る奇跡たち




 ぐつぐつ、ぐつぐつぐつ……

 なにかの煮える音がする。

「くっそー、悔しいけど良いアイデアが浮かんじまった……」

 天を仰いで深呼吸してる。ここの空気はお世辞にもおいしいとは言えない。なにを思いついたやら。一体全体なんなのか、見てみたい気はするけれど。

「気が散るから後はいい」

 いいってなに? その三人は?

「ジャガーさん、ちっと拝借します」

 ジャガーさんは目を白黒させている。

 言ったなり、ガナッシュは三人の金竜さんを連れて、調理場へひっこんでしまった。他にはなにもなし! そんなだからもう、残されたあたしらなんかはパニック寸前。どうしよう!

「と、いうことでえ……」

 どうしよ、どうしよ、なんか出せあたし!

「向こうでカードでもやりましょうか? ね」

「えー! カードォ? ぼくつよいよ」

「ぼくも、ぼくも」

「あらそー、じゃあ、おねーさんとパニックカードでたいけつしよーか!」

 どうだ、これなら負けないもんね。

 ……問題は、カードが、人数分に足りない。こっそりため息してると、金竜さんの声がした。


「それよりかくれんぼしようよ」




「いー眺めですね……あ、すみません」
 
 彼らのかくれんぼていうのはね、足隠し、といってね。頭に選ばれたひとは、隠れた足達を見つけて名前を呼び、全部見つけたら頭の勝ち。見つけても名前がわからなければ、その場で、でんぐり返るのが罰ゲーム。

「それより、探さなくていいのですか? 頭なのでしょう?」

「ふふっ、良い作戦があるのです。秘密ですよ?」

「おやおや、どんな秘密なのでしょう」

 ジャガーさんはちょっと笑って、眉をひそめた。

「なぜ笑うのですか?」

 うーん、と頭をかしげてジャガーさんは言う。

「それはそれなりに理にかなってはおりますな、しかし……頭が脚を見つけても、その脚の名はどうやって知るのでしょう?」

「もう、知ってますよ? あたし、こう見えても詩人なんですよ」

「なるほど。それで全員の名を当てて見せると言うのですね」

「仰るとおりですわ。あたしはここを動きませんから。勝負なんてあってなきがごとしです。あ、このお茶おいしいですねえ」