天翔る奇跡たち

 姫竜さん、いいな。あたしもグリフと一緒に空を飛んでみたいな。二人っきりで。でもそれははっきり、無理なんだろうなあ。あたしには翼がない。変身なんて間違ってもできない。

 とーおい、向こうの女王様のお言葉をジャガーさんが代弁した。

「白竜だった、姉姫があの雲の上まで飛びたいと、ツバメより早くあの空へゆきたいというのなら、女王様がご自分の翼を与えてもかなえたかった、との仰せである」

 でもそれはできなかったんだよね。今更どうしようもないんだろうけどさ。

「今度はしくじることのないように、決して妹姫だけは神殿から一歩もださず、運命に出会うまでは、無垢なままで、守っていたいと」

 あたしは無言でジャガーさんを見た。

「それはちょっと違うなあ……ダイノダイアさんは、ううん、彼女だったら、飛びたければ自分の翼で、滑空したいなら一人で……人の手を借りるんじゃなくて、どこまでだって自由に飛んで行くんだと思う」

 ジャガーさんは微かに頷いて、女王様に向かって歩みをゆっくりとすすめた。あたしはジャガーさんには内心期待していた。彼の働きかけによって女王様が誰のことも断罪・弾劾しないでいてくれるようにと。