軽い銃声が聞こえ、その瞬間、押し寄せる炎にあたし達は蒼白になって身を低くした。

 しばらくして、聞く者の心を封じてしまうかのようなむせび泣きが聞こえてきた。グリフは言った……。

「アップル、しばらくここを離れないでくれ」

「グリフ? どこへ行くの」

 はっとしてあたしは荷を解いた。この中には……。

「待って!」

「来るな、来ちゃダメだ!」

 もう一度銃声がした。あたしは迷わず手の中のものをグリフの声がした方へと投げつけた。


 アクア石だ。ちゃんと届いたのはすぐにわかった。ガスが引いてゆく。これはアクア石に触れたせい、もちろん、一気に視界が開けた、ってわけじゃないんだけど、足下に広がってた温泉にも効果があったようだ。