天翔る奇跡たち



 無知は怖い。父母を亡くし、村長の紹介状一つで領主の館へ赴いたあたしは、箱の中に閉じこめられ、沼に沈められそうになった。

 生け贄だとか人柱だとか判然としないんだけど。そのとき箱から出してくれた二人の男の子が「大丈夫か」と言った。赤毛の長髪がガナッシュで、黒髪できれいな瞳の子がグリフだった。

 その二人が仲介屋を通じて事件を解決へと導き、多くの人命を殺めた領主の悪事を暴いてくれ、ついでにあたしは救い出された。

 でも……

「君だけ今回の人質リストにはない。引き取り手もない。ご両親も存命でない、と」

 と、今から考えるとものすごく意外なんだけど、ガナッシュは敬語を使っていた……まだこのときは。



「仕事の斡旋(あっせん)ならドギーがやってくれる。ま、オレ達の範疇ではないな」