いつもの坂をあがると校門にヤツがいた。

「おはよう」

 ヤツは笑顔であたしを待っていた。

「だから、普通逆だって…」

 あたしは少し笑いながら言った。

「いいだろ…俺がそうしたかったんだから」

 少し照れた様子でヤツは顔を背けた。

「ばか…」

「また、馬鹿って言う」

 口を尖らせたヤツが少し可愛く見えた。

「ごめんね」

 あたしは素直いに謝り言った。