あ…。

なんか、嫌なこと思い出してしまったな…。

あたしがあたしである限り、忘れたくても忘れられへん過去。

横でお母さんと頼道が談笑してるっていうのに、その会話がどんどん耳から遠ざかっていく気がした。

代わりにあたしの中には、どんどん溢れてくるあの記憶。

あかん…。

今あたし、すごい顔してんねんやろうなあ…。

もう、寝ようかな。

…寝れるかな。

いや、どっちでもいい。

とにかく布団にもぐってしまおう。

こんな顔、頼道に見せるわけにはいかへん。

見せたら、また、馬鹿にするに決まって…


「優霞ちゃん? どーしたん、すごい顔してんで」

「!!」


遅かった。

気付いたら、いつの間に近付いたのか、かなりの至近距離でまじまじとあたしの顔を見つめる頼道の顔面どアップがあった。

お母さんも心配そうにあたしをみている。