三つの月の姫君


「よっぽどうまいんだな、おまえの血は」


「誰かさんと違って労働に汗してますから」


「わからんよ。この身に流れる遠い貴族の血がうまいと思う輩も、いないとも限らん」


 言うなり彼は青年の腕をとり、それに歯を立てた。


「硬いな」


「おかげさまで、みっちり鍛えられてますから」


 苦笑、後、照れ笑い。