三つの月の姫君


「でっかい独り言が外まで聞こえていたぞ。
カギくらい……は使用人が所持するのだったな。おかしな話だ。誰もいないんだからな」


 夜風が吹いた。


目が覚めると、涼しげな顔をしてミスターがベンチに腰掛けながらこちらを見下ろしていた。


「な、なぜここに……あなたが?」


「それより自分の格好を気にしろ」


「へ?」


 胸元が大きくはだけて、あちこちに虫さされの痕がある。


 焦った。