三つの月の姫君

「この不可解さを楽しめるようでなくては、おまえもまだまだだ。ただ……本物は困る」


「はあ」


 実際、主人よりも年はとっているわけだが、自慢にならない上、主人がもっとも嫌う話題なので刺激しないようにする。


「しかしまるで……こう、ホラーみたいですよね、ある種の……そのう、ほら」


 主人は立ち止まって、後ろの青年を振り返って見た。