三つの月の姫君

 青年は高い背を猫背にして、もう一度ノックした。


 それから、開ける。


 お返事は確認してないけれど。


「昔、歌を詠むひとが月下の門を推すか敲くか悩んだと言うが、敲いた後、推してはいる、が正しいのでは……?」