三つの月の姫君

 そのとき、話とは全く関係なく物を置く音がした。


 軽くて硬い、グラスのような……


 青年はびくついたところをけり倒され、扉にぶつかりそうになってしまう。


 中に誰かいる。


 彼はどうしても自分が確かめなければいけないのか、扉を冷静になって見ることができない。


「中でひとが暮らしているなら、ノックすれば、少なくとも文明ある文化的な生活をしてここにいるのか、対応でわかるはずだ」


 彼は喉が渇き、口の中が粘つくのを感じたように喉を上下させて生唾を嚥下した。


「こ、今日はぁ」