三つの月の姫君



(やっぱりー! どうりで愛想がない。って)


「で、これらの犬は」


『ミスターの犬が寂しくないようにって、思って。芸術じゃなくったっていいんです。小さい子供さんがね、くすっ』


「言う前に笑うな、そういう置いてけぼりはごめんだぞ」


『ハイ……近所の子供達が、喜んでくれて、それがなんだかうれしくて、このように』


 はにかみながらそう答える。

 
 どうやら平和を取り戻せたらしい、何故かミスターは思った。


 無表情ながら、ずいぶんと愛嬌のある子犬たちに大勢、囲まれているのを見て、いくらかミスターは安堵した。
 

 背に暖かな温もりを感じ、振り払おうとも思った。


 しかしそうはしなかった。


 そして、今までそこにあったはずの存在が、そよ、ともせずにかき消えたのを、寂しそうに震えた。



(挨拶くらい、ちゃんとしろよ)


「俺は、おまえのそう言うところが……おまえという人間のそう言うところがなあっ」



 ミスターは青年が残していった温もりを肩に、腕に抱きながら震えた。



「嫌い……だった」