三つの月の姫君

 いつかの青年が微笑んだ。


「オマエ、なんの皮を被ってるんだ?」


『あ?気がつかれました? 僕ですミスター、おまちしてました。今朝の取れたてのハーヴティはいかがです。それとも先に庭園にでも』


 気を遣うフリをして疑問符を沢山ぶっつける癖はなおってない。


 一見相手に選択肢を増やしているようにみえて実は相手の思考手段を狭めている。


 誰も、信じないだろう。


 二人が時を越えて、再び出会えたことなど。

 
 青年が像を造り続けて、庭がいっぱいになった頃ミスターが来た。


 彼は一つ一つの像に


 名前を付けていて、店を広げて見せに来る。


(よっぽど寂しかったんだな、こいつ。だけど創造物一つひとつの名を覚えろと言うのは無理だ)


「な、なあ。これぜえんぶ、同じ顔に見えるんだけどな」




『ハイ、ミスターをモデルにしました』