三つの月の姫君




 それから二百年後。




「はくしょっ。なんだ、この寒さ」


「山の上なんてこんなもので」


 やっぱり若くして親の財産を継いだミスターが、十字に焼けた看板と門に巻き付いている鎖を外そうと試みていた。


 だが、はずれない。


「ミスター、わたくしが」


「ん、やれ」


 むきむきの筋肉がしゃべっているかのような、屈強な男二人が選別されてお供に来た。


 が、中は外壁の厳つい印象から百万光年遠ざかるほどの、石像でいっぱいだ。


「目の錯覚か」


(目のサンカクでもシカクでもないでしょう)


 ミスターは懐かしい声を聞いた気がして、立ち止まりそうになる。


 だが、それは禁じられていた。


 なぜ? だれがそんなことを言った? 



 わからない。


 惑うようにそこらを見て回り結論を出した。