三つの月の姫君




 ある日のあまり晴れてない日。
 

 淡い光が降り注ぎ、薄紫の花片が未だ朝露の重さにしおたれていた午後。
 

 青年は一心不乱に石を彫っていた。
 

 カエルがケコケコ言った。
 

 自分のいる噴水のそばでやっているのでつい、気になってしまったのだ。


『何を、一生懸命造って……いるの』


「なんでもないさ」
 

 青年が笑いかけてくれたので、いろんな小動物が集まった。
 

 それでも、もう、彼が手を休めることはなかった。


 そして、できあがった像を運び、その場で底の方にサインした。


「フロムボウイ、トウミスターへ」