三つの月の姫君

 ひとつ間をおいて、ミスター、ため息。
 

 雨が、降ってきた。


「これが、君の涙なんだね……」


 と、言って、青年は自らの彫った石像が濡れるのをじっと見つめている。


 それにつきあったミスターも、


(確かに泣いているようにも見える。だがしかし、今はここから去るのが正しい判断だ)
 

 ミスターは容赦なく青年の腕を、服の上から引っぱり、青年が語った厩舎を目指す。


 すぐそばだった。


「なんだ、何ら変哲のないものなのだな。あるのは荷車と……こっちのサスマタみたいなのはなんだ」
 

 急に何だと言われても。


「ああ、干し草をのける物です。名前は」


 知らない、と言う話である。


「のける? 運ぶ物ではないのか」


 そんなことを言われても、わからないものはわからないのである。


 現代社会を生き抜くのに全く支障なく、いらないものだ。