三つの月の姫君

「口出しって、そもそもミスターがボケるから……」


「今、オレの拳はおまえをたたきのめすためにあるのかな……?」


「すす、すみませんでした」


 ミスターの目は猛禽のようだ。


「申し訳御座いませんでした、だろ? 部下たるものオレにひざまずけ、オレに従え、オレを敬うのだ!」


 それでも青年はぐずぐず言う。


「そんなこと言ったって、今までの馴れ合いで良いじゃないですか。いまさらポジション取り上げられても、ついてゆけませんよー」


  整った顔で凝視されると、どれだけ恐ろしいか、青年は今知った。


「今までオレが満足してたと思うのか!」


「すみません、申し訳ありません。早くお洋服をお召しになってくださいませ」


「うむ」


(うむじゃないよ、うむじゃ。こっちは蹴りをもらって鼻血出そうなのにっ)


 悶絶寸前の青年をよそに、ミスターはさすがに一人で生着替え中。


 ビジネスマンだから、ネクタイも自分でしめられる。


 まだ十代だけども。