三つの月の姫君


 だが、亡霊は揺らめき、さざめきながらかつての姿を映し出す。


 ゆらりゆらりと列柱に遊ぶ姿はどこかゆかしい。


 いかにもありそうな、という意味で。


 門には雷の落ちた名残で、黒こげの鎖が湯気を立てて、門、それ自体を忌まわしい物にしていた。


 縦と横に黒こげの十字が走っている。


 これではうかつに近寄れない。