三つの月の姫君

 二人とも、厳然たる事実に気付かない。


 その看板に書かれていた文字は彼らの母国語ではなかった。


 細くうねって禍々しい呪いのような感覚を覚えた。


「愛の定義はいろいろですからねえ」


「なにやってんだ、全速力でこっちへ来い!」


「え? 雨?」