「あっ!ありがとう!」

だけどいずみちゃんは何のためらいもなく、それをさっと使って自分の長い髪を結んだ。

「わー、すごい!」

「うん、似合うよ~」

菜美も満足そうで、あたしだけが置いていかれてる感じだ。


「彩香、知らない?これ、今やってるアメリカのドラマに出てくる女の子が良くつけてるシュシュのレプリカなんだよ」

菜美が言うといずみちゃんも大きくうなずき、

「アメリカの中高生の間で流行ってるんだよ。一度つけてみたかったんだ~」

「あたし、海外ドラマとか全然見ないから・・・」



言い訳しながら、あたしはちょっと安心した。


いずみちゃんもやっぱり普通の中学生と同じなんだ。



あたしたち3人のいる公園はまだ寒い。


でも今は何だか、柔らかな春風に包まれている気がして、いつまでもここにいたかった。