その後。

陽斗の行方を探す手がかりはないまま、時間はドンドン過ぎていった。

それはそれは容赦なく。


なんといっても高校2年生の後半といえば、いつまでも感傷に浸っている暇がない。

部活では3年生を見送り、新入生を迎える準備をする。

そして4月からの受験モードに備えて、模擬試験やら進路調査やら、急に何かに追われる身になっていく。


推薦入試を目指す子、専門学校に進む子、留学を目指す子。

文系、理系、日本史、世界史、化学、物理、みんな進む道が分かれていくのを実感する。


菜美は法学部に進むと宣言してあたしを驚かせた。

「なんで法学部?」

「検事になって、悪を懲らしめたいから」

そう言ってクスッと笑う菜美はいつもの通りかわいくて、でもいつも以上にまぶしく見えた。

「本当は法律を勉強して、自分なりの武器にしたいんだ」

「うーん、菜美がそんなこと考えてたなんて知らなかったよ」

あたしだって、と菜美は言った。

「彩香があんな夢を持ってるなんて知らなかった」



進路を決めるのは自分自身。

みんながバラバラになっていくように感じるのももしかすると、あたしたちが群れる季節を過ぎて、自分自身に返っているからかもしれない。


あたしも落ち着かない日々の中で、どうにかこうにか「道」を見つけようとしていた。



陽斗、陽斗も「道」を見つけていますか?

見つけていますように、あたしはそう祈らずにはいられない。