レモンドロップス。


夕日の中、河原の道の枯れ草を踏みながらゆっくり歩く。

陽斗はそうやって、わざと道をそれるように歩くのが好きだ。


「なんでまっすぐ歩かないの~?」

あたしが聞くと

「草の音と感触が楽しいから」

当たり前だろってすました顔で陽斗は答えた。

「そうなの?」

「彩香も真似してみろよ。絶対クセになるからさ」

言われてあたしも一歩足を踏み出す。


「あ!そこ犬のうんこ落ちてるぞ」

「はあ!?何言ってるのもう、最悪!」

「危なかったなあ、ほらっ」


げらげら笑いながら陽斗はあたしに向かって手を差し出した。

「いや、笑い事じゃないし」

あたしはそう言いながら、そっと陽斗の手をとった。


枯れ草を踏む、2人の足音。

さくさくさくさく。

それがあたしたちのリズムなんだ。

「いい音してるな」

「いい音してるね」


さくさくさくさく。

そうやってどこまでも、歩いていけると信じてた。


「彩香」