レモンドロップス。


12月24日、クリスマスイブ。


まさかこんな形で2人の初めてのイブを迎えることになるとは思わなかったけど、今日くらいは恋人らしいことがしたい。

そんな気持ちで、あたしは机に飾れる小さなツリーと深緑色のマフラーを買っていた。


もちろん陽斗からのプレゼントなんてなくて良かった。

陽斗があたしの目の前にいてくれるなら。


クリスマスソングにあおられて、あたしの心も久しぶりに浮かれている。

なんだかんだ言っても単純な人間なんだな、そう思うと妙におかしかった。


その日のお昼過ぎ、家を出るときつく巻いたはずのマフラーの隙間から寒さがしのびこんで、思わず身震いしてしまう。

「さ、寒っ!」

小走りに駆け出したあたしの頭上の空は薄曇。

紙袋に入れた2つのプレゼントはカタカタとリズミカルに揺れていた。



病院の中は、なんだかいつも以上に暖かに見えた。

待合室に飾られた大きなクリスマスツリー、掲示板に張られたこども聖歌隊のミニコンサートのお知らせ、そのどれもが「今日は特別!」そう主張しているようだ。


―――ガラッ

おなじみになった病室のドアを開けると


「彩香、メリークリスマス!」

目の前に陽斗の笑顔が飛び込んでくる・・・。




でも、実際には違っていた。

陽斗は顔を窓の方を向いていて、その表情はあたしの方からは見えない。

小さくため息をついて、あたしはドアを後ろ手に閉めた。


これもまた、最近おなじみの光景だった。

クリスマスイブだから、少しは気分に変化があると思ったんだけどな・・・。

ただ陽斗に近づくと、いつもと違うことに気がついた。