「あ。」
「お。」
陽斗の声が戻った週の土曜日、あたしは病室から出てくる乾くんと浩一郎さんにバッタリ出会った。
「彩香ちゃん、毎日通ってるんだって?さすが健気だね。」
浩一郎さんの言葉に、
「え、いや、それほどでも・・・。」
柄にもなく照れるあたし。
陽斗の声が戻ってきてから、あたしはちょっと気持ちが楽になって、お見舞いに行くのが楽しくなっていた。
会話をできるだけでも心配は軽くなるし、陽斗の声を聞くだけで無条件に落ち着く。
腕の怪我だって・・・、リハビリ次第では後遺症が軽くなるかもしれない。
そんな楽観的な考えさえ浮かんでいた。
「部活も忙しいのに、毎日通うなんてホントに頑張るね。俺らも見習わないとな」
「え、そうですか?ハハ・・・。」
暖かい励ましのような言葉につい顔を赤くするあたし。
そんなあたしをニコニコと浩一郎さんは眺めている。
でも・・・。
乾くんはあたしたちの会話には加わらず、じっと壁を見つめている。
なんだか、顔もこわばって見えた。
「あの・・・。」


