陽斗が入院してから、あたしは急に忙しくなった。
平日は授業の後部活に行って、陽斗の病院に寄る。
面会は受付時間が決まっているので、練習が延びたときは駆け足で電車に飛び乗って病院に向かう。
健にぃは、あたしの気持ちを察してくれたのか、陽斗に学校のプリントや授業の資料を持っていく役を命じてくれた。
おかげでほぼ毎日のように陽斗の元に通う口実ができた。
文化祭は終わっていたけど、部活の練習は相変わらずハード。
でも、陽斗のことを言い訳にしたくないから普段よりいっそう頑張った。
夏を過ぎてから、パートリーダーを任されたからなおさらだ。
――『宮崎さんならできるよ。私も安心して引退できるな。』
そう言って、笑って引退した佐藤先輩のためにも頑張りたいと思う。
『彩香、頑張りすぎたらダメだよ。』
そんなあたしに菜美は心配顔。
ありがとね、菜美。
でも、あたしはできるだけ頑張りたいんだ。
陽斗だって、辛い入院生活に一人で頑張って耐えてるんだから。
陽斗は全治3ヶ月と診断された。
なかなか腕の痛みがひかないみたいで、唇をかみ締めて、じっと我慢している姿を見ることも良くある。
声はすぐ戻るだろうと言われているけど、やっぱり苦痛をじかに伝えられないのは辛いと思う。
そんな時、あたしはただ陽斗の右手をそっと握ることしかできない。


