いずみちゃんが行方不明になっていると知ったのは、公園の事件からしばらくたってからのことだった。


夏休み直前の昼休み、いつもの中庭で。


「あいつ、ずっと家にも帰ってないらしい。誰も連絡取れないし、やばいな」

陽斗は顔を曇らせた。


「・・・、ごめん」

「なんで彩香が謝るの?お前のせいじゃないって言ってるじゃん」

「うん・・・」


陽斗はそう言ってくれるけど、あたしとしてはやっぱり謝らずにいられない。

菜美はあたしの友達で、あんなことになるのを止められなかったことが申し訳ない気持ちになってしまう。




あの日、菜美と分かれてすぐにすぐに陽斗に電話した。

ほんとに言いづらかったけど、菜美がいずみちゃんに言ったこと、全部伝えた。


陽斗は菜美を攻めなかった。

ずっと黙って聞いていて、


「そっか」

ぽつんとそう言った。


「陽斗、ごめん。あたしが二人が兄妹って伝えていれば、こんなことにならなかったかもしれないのに・・・」

「彩香は悪くないって。おれが口止めしてたんだし。」

そういえば、その時も陽斗はあたしをかばってくれた。

「菜美ちゃんはいずみに嫉妬してたんだし、結局は同じことになってたかも。もしもって言い出してたら、キリないよ。」

「でも・・・」


「大丈夫だよ、あいつは」

陽斗は自分に言い聞かせるようにそう断言してたけど・・・。