果てた彼はまた時計を見た。

「もう22時?ああー…やだな」
「そんな事言わないの、新婚さん」
「止めろよその言い方」

彼は不満そうな顔をした。

「帰りたくない…」
「まだ一緒に暮し始めてそんなに経ってないじゃない」

あたしが言うと彼はタバコに火をつけた。

「今さ、あいつ妊娠6ヶ月なんだけど精神不安定だし俺に当たるし…飯も全然うまくねーの」

彼の愚痴を聞いてあげようって思った。

「体重も10キロ近く増えてさ、なのに性欲はあるのか誘ってくるし…」
「妊娠してるんだから太るのは仕方ないよ」

「俺、あいつに全く欲情しねーの…妊娠分かってから一度も出来てない」
「うそだぁーこんな変態なのに」

あたしが笑いながら言うと彼も少しだけ笑ってくれた。

ちょっとは元気になったのかな?

「変態なのはヒナと一緒にいる時だけ」
「…」
「もうヒナじゃないと無理。ヒナ、愛してる…」

長いキス。




22時半、彼は帰って行った。