「どうしたの?」 あたしが言うと、 「や、あいつが見てるみたいだったから」 と彼は言った。 その瞬間あたしの心はぎゅっと締め付けられた。 なんでかは自分でも分からない。 涙が出そうだった。 顔をしかめて涙がこぼれてこないようにする。 彼が結婚指輪を外そうとして、あたしはその手を止めた。 「外さないで」 「え?」 「いいから」 あたしからキスをした。 ねぇ、 その手で、 その指で、 あたしに触れて。 あたしにキスされた彼は指輪を外す事を止めた。 そしてあたしに夢中になった。