第三者のあたしからしても彼は「素っ気無い」って感じた。

奥さんが嬉しそうに千昭くんをゆする様子をただ見つめてる。

「ヒ…水月、何か飲む?」
彼はあたしに聞く。

「えっ?あー…」

"じゃあミルクティー買って来て!冷たいのね!"
っていつもの調子で言っちゃいそうだった。

「あっいいですいいです。自分で買いますから」

くすぐったくなるような彼に対する敬語。
可笑しくないかな?

「じゃあ一緒に買いに行くか」
彼はそう言うとあたしは頷いた。

「あっ…奥さんも何か買ってきましょうか?」
あたしが聞くと美雪さんは「ありがとう」と笑って首を横に振った。

「私はさっき買ったから。大丈夫」

「さあ、行こう」

彼はそそくさと病室を出て行く。
あたしは小走りで彼について行く。


「ねぇ…ちょっと冷たいよ」

廊下の一番端にある自販機についた時、二人なのを見計らってあたしは言った。

「奥さんに冷たいよ?変に思われちゃうよ?」
「へ?俺いつもあんなカンジだよ」

彼は自販機のジュースを取り出しながら返事をする。


「あたしの時と全然違う」
「そりゃ違うって。誰しも好きな人とそうでない人と同じ態度取れるわけないだろ」

彼は冷たいミルクティーをあたしの頬につける。

「ねぇ…どっち?あたしはどっち?」

好きな人?
そうでない人?

彼はそっとあたしを抱き寄せた。