あたしと彼との出会いは新幹線の中だった。
田舎から東京の専門学校に通うために上京してくる最中のあたしと、会社の出張帰りの彼。
隣同士の席になって、彼が声を掛けて来た。
彼に対するあたしの最初の印象は、「軽いやつ」
初対面の女の子に簡単に声を掛けてくる。
だけどスーツをびしっと着こなす彼に何故か安心してあたしたちは仲良くなった。
流れで連絡先を交換し、
住んでいる場所も近かったからすぐ会うようになった。
彼に彼女がいるなんてちっとも知らなかった。
そのうち「もっと一緒にいたい」と彼に言われ一緒に住むようになる。
一つ不安だったのは彼の携帯がよく鳴る事、
それにしょっちゅう誰かと電話しているようだった。
"浮気してるのかも…"
っていう想いはあったけど、
まさか自分がその相手だとは夢にも思わなかった。
だって彼から声を掛けてきたんだし、
同棲だって彼から持ち掛けてきた。
彼女なんかいたらそんな事はしないって普通は思う。
だから彼に彼女がいる事を知ったのは、
まさに「結婚しなくちゃいけなくなった」と言われたその時だった。
