お通夜の後で、母は言った。 「おまえ達が植えてくれたといって、お父さんは毎日水をやり、大きくなるのをそりゃあ楽しみにし、『つぼみはまだか、花は咲かぬか』と毎回チェックしていたのよ」 知っていたわ、と姉が言うと、二人の妹はしゅんとして涙までこぼしだした。 数年後、結婚して出て行った二人の妹は、夏場、母のお通夜で実家に戻った。 父の部屋はきれいに整頓され、母の、父への想いが感ぜられた。 きっと、父を亡くしてから必死で生きてきて、家を守ろうとしていたのだろう。