「ねーえー、Aくーん」
「ちょっとこのカート、持ってて。バランス悪いからだっこにするから」
Aはするするとこなれた手つきで負ぶい紐をとき、赤子を胸にくくりつけるのにBの手を借りた。
(?)
別になんと言いうこともない作業だ。
「これをどうしろというんだ」
カート置き場に置こうにも、Aが忘れていった中身入り。
Bはそれを隅へやってしまって置き去りにし、店を出た。
Bはもう何台目かになるクラシカルモデルのECOカーを走らせつつ、憂鬱そうにため息をついた。
……子供か。
先ほどのやりとりを遠目で見ていたのだろう、女が、
「やあね、コドモなんて。一緒に町を歩くなんて気が知れないわ。みっともない。それに私はいや。産後にプロポーションが崩れるの」



