ふいーっとスーパーのカートに寄りかかり、
あー、煙草吸いたい。と呟く。
「子供のために禁煙を! なんてえ野郎だ」
Bはなぜかうれしそうに、Aの胸板を叩いた。
多分、嫌煙家なのだろう。
「まあ、どんなんでも良いよ。この子が望むなら、日本国憲法に触れない範囲で、どんなことでもしてやるさ」
「親バカだな」
Bがぼそっと言うと、
「馬鹿になんなきゃ、親やる資格ねーよ。.愛して育てる、これ必須よ」
愛、とBはクスリと笑った。
「おーい、Aくーんー! 手伝ってってばー」
「愛ねえ、勘違いの産物だろ」
Aの細君はまだ呼んでいた。
「カート二台か、どうやって持ち帰るんだ」
「バンを一台買ってある。軽くて丈夫な原始時代の煙はいてるの」
Bは大仰にのけぞるフリをした。
「な、なんと、君は生きる公害だ!」



