『はい…初めて会った時に……会場の外で声をかけてくれる前なんですけど、控え室に居た時に、わぁー背の高い人達が入って来たぁって思って、見てたんです。

その時、一番後ろから優しい目をしたケントさんが現れて、正直ドキッとしました。

だって、私の初恋の人が目の前に現れたんだもの。』

「初恋の人がって、前にどっかで会った事あったっけ!?」

『やっぱり覚えてないんですね。

ケントさんペンシルベニア幼稚園ですよね!?』

「そうだけど、何で知ってるの?

って、もしかしてヒカルちゃんもペンシルベニア幼稚園?」

『そうですよ!

私が年少組で、ケントさんが年長組。

覚えて無いですか!?

何時も一緒に登園する時、手を繋いで貰ってたんですよ。』

「エ~ェッ!?

もしかして隣の伊藤さん家のヒーちゃん?」

『はい。私の両親が離婚して、私は母の実家に戻ったから、途中で幼稚園変わって…苗字も伊藤から母の旧姓の岸田になったんだけど、私が10才の時に、母が再婚して、今の吉田になったんです。』

「覚えてる。って言うか、思い出した。

俺さ、ヒーチャンが居なくなったって、ずっと泣いていたんだ。

一緒に登園しようと思って、隣のヒーチャン家まで行ったら誰も居なくて、幼稚園にも居なくて、園長先生に聞いたら、遠い所に引っ越したから、もうこの幼稚園には来ないんですよって言われて、俺は家に帰ってご飯も食べずにずっと泣いていたんだっけ。」

『私も泣いてたんだよ。

ケントお兄ちゃんに会いに行きたいって、母を困らせてた。』

「全然気が付かなかった。

早く言ってくれたら良かったのに。」

『うん…久しぶりに会った時に、似てるなぁ…なんて思って、私もまさかケントお兄ちゃんとまた会えると思って無かったから、お前誰?とか言われたり、今更昔の事を話してひかれたらどうしようかって思って言えなかったです。』

「俺さ、あの頃のヒーチャンが忘れられなくて、ずっと彼女作らなかったんだよ。

俺の初恋だったんだよなぁー!

でも、また出会って、また同じ人を好きになるとは、俺ってガキの頃から相当ヒーチャンに参ってたんだなぁ。」

『私も同じです。

私は、あの頃ケントお兄ちゃんのお嫁さんになるって決めて、それからずっと今日まで思ってたんです。

私のファーストキスもケントお兄ちゃんなんだから。』