『お支払回数は…』
「いつもと一緒で1回でお願いします。」
『かしこまりました。
それでは、こちらの方にサインをお願いします。』
俺は、慣れた手つきでKoh Chang suhと筆記体でサインをして渡した。
『それでは、こちらが控えになります。
どうもありがとうございました。』
「こちらこそ。」
と言って、一礼してアジアツーリストを後にした。
車に乗り込み、入国管理局へと向かい、再入国の手続きを済ませて帰宅した。
ウォーキングクローゼットに入り、旅行用のカート付きのミドルサイズのボストンバックを取り出して、着替えやデジカメ、それにアボジが言ってた黒のタキシード等を詰め込んだ。
簡単に荷造りを済ませてから、携帯を取り出して、ソナに電話をかけた。
「モシモシ、ソナ!
俺だけど、実はさぁ明日から3泊4日で韓国に行く用事が出来たんだよ。」
『ずいぶん急なんだね!?』
「俺のアボジ(親父)は、いつだって急に連絡して来るからなぁ…。」
『何かあるの!?』
「会社の20周年記念のイベントやパーティーをやるから来いって言って来たんだよ。」
『そうなんだ。
わかった。
気を付けて行って来てね!』
「ありがとう。
お土産買って来るな。
何が良い!?」
『何でも良いよ!
元気に帰って来てくれたら、それだけで良いからね!』
「了解。
じゃあ、帰って来たら、また会おうな!
デートしよう。」
『うん!
今度、横浜の中華街に連れてって!』
「OK!
じゃあ、そういう事だから。
バイバイ。」
『バイバイ。』
今度は、XYZのメンバーに連絡して、7日には帰って来るからな!って言って、電話を切った。
それから俺は、家を後にして渋谷に向かい、ジソンヒョンニムやハラボジ(お祖父様)、本社の気の合うスタッフ達にお土産を買って帰宅した。
それらもボストンバックに詰め込んだ。
財布の中を覗けば、現金が2万円程になっていたから、家庭用の小さな金庫を開けて、100万円の束を1つ取り出して、帯封を切って財布の中に入れた。
明日着ていく服やパスポート、財布やサングラス、帽子に携帯電話、i-pod等をサイドテーブルに置いた。
暫くの間、レンタルしていたDVDの《女人天下》を観ていた。