「どうしたんだ!?」
『ここって、68坪って言ってたよな!?』
「あぁ、図面みても68坪になっていたし、親父もそう言ってたけど…。」
『実際に計測すると、71坪有るぜ!』
「3坪って言ったら、6畳一間分広いって事かよ!?」
『あぁ、そう言う事になる。
工事をしていたら、どうも図面と物件のサイズが合わなくて、きちんと計測し直したんだから!
そっから、新しい店舗の図面を引き直したんだぜ。』
「すまない。
なんせ、以前、このビルを建てたのが、金光住建って言う、親父の友人の建築家だからなぁ。
ひょっとして、違法建築か!?」
『イヤ、驚くほどしっかり造られてるよ。
耐震性もバッチリだよ!』
「サイズだけが違うのかい?」
『図面にあるべき物が、実際には無かったりするよ!』
「エ~ッ!
それって建築法かなんかに引っ掛かるんじゃないの!?」
『新しい図面を提出すれば、それで大丈夫だと思うんだが。』
「一体、何が無いんだ!?」
『この図面を見てくれ。
ここと、ここに2つエレベーターが在るだろ!
実際には、正面玄関横の1つしか無いわけで、裏手の非常口から入って直ぐのエントランスも無いし、エレベーターも無いだろう。
実際には通路が有るだけだから。』
「ちょっと、適当に書きすぎだな!」
『だから、多分、全フロアーの図面もエレベーターの部分が、何か他のスペースになっているはずだよ。』
「ちょっと、ここのビルを管理している坂田店長に聞いてみるよ。
このビルを建設する前から居たから、何か知っているかも知れないから!」
『わかった。』
しっかし驚いたなぁ。
一体何が有ったら、こんなでたらめな図面で営業出来るんだ?
「坂田店長、こんにちは。」
『やぁチャンス君、頑張ってるな!
そろそろ3号店も工事が終わるね!』
「ところが、問題発生ですよ!」
『どうしたんだい?』
「このビルには1つしかエレベーターが無いのに、渡された図面を見たら、エレベーターが2つ在ることになっているんだけど、どうなっているか知りませんか?
違法建築では無いみたいなんですが。」
『‥‥‥‥。』
黙り込んだ坂田店長が考えて込んでいる。
そして、急に思い出したように、カウンターの奧に消えて行った。



