「お店の名前は、何て言うの!?」


『フランス語で
Hortensia(オルタンシア)って言うんだ。

意味は、紫陽花。

紫陽花はね、同じ種類でも、植えられている土の成分に寄って、花の色が変わるんだ。

料理って、同じ食材を使っても、味付けや調理方法によって違う物になるだろ!?

だから、店の名前を
Hortensiaにしたんだって。』


「オルタンシアかぁ。

素敵な名前と意味ね。

味が彩やかと書いて、味彩(アジサイ)みたいな感じなのね!」


『それ良いかも!

まぁ、今度の俺のオフの時に、一緒に行こうよ!

調理補助だから、色々と料理も覚えられるよ。

俺の両親ん所でバイトしていたら、俺も安心だし。』


「じゃあ、お願いします。」


『まぁ、花嫁修行と言う事で、頑張って俺の両親に気に入られてくれよな!?』


「もうケントさん、変なプレッシャー与えないでよ!」


『何度も会ってるんだから、心配無いよ。

親父もお袋も、ヒカルちゃんの事はメチャクチャ気に入ってるんだから。』


「私こそ、とっても優しくて暖かいケントさんの家族が大好きだよ!」


『結婚しても、嫁・姑の戦争なんてゴメンだから、ヒカルちゃんなら安心だな!』


「それじゃあ、ふつつかな私ですが、末永くお願いします。」


『なんか、もうお嫁さんに来るみたいだねぇ。』


「ケントさんさえ良ければ、今すぐにでも一緒になりたいわよ。」


『それはちょっと…、せめて大学を卒業してからなら、良いよ。』


「あぁ~あ、まだ4年間もあるんだよねぇ。」


『6年間だよ!

俺、まだヒカルちゃんに言って無かったけど、大学を卒業したら、XYZを解散してフランスに、料理と語学の為に留学するつもりなんだ。』


「3年間も!?

じゃあ、私も大学卒業したらケントさんのところに行く。

フランスで2年間、一緒に料理の勉強します。

私、今決めました。

私も料理の道に進みます。

だから、大学ではフランス語を専攻して、時間の許す限りオルタンシアで修行して、ケントさんに追いつける様に頑張ります。」


『ヒカルちゃん、急にどうしたんだよ!?

3年間なんてあっという間だよ!

無理に料理の世界に飛び込んで来なくても良いのに…。』


「ケントさんと同じ世界を見続けたいんです。」