『冷めない内に早く食べようか!』


「凄い!

これ、全部ケントさんが作ったの!?」


『そうだよ。』


「いただきま~す。

美味し~い!

このパエリア、ムール貝じゃなくてカキが入ってるのね。

甘くて、香りも良いわ!」


『昨日、買っておいたのをオリーブオイルとパイナップルヴァームの葉っぱに漬け込んでおいたんだ。

オマール海老の身を一口サイズにカットして、カキと一緒に入れて調理したから、ご飯に両方の旨味が沁みでて美味しいでしょう。』


「私も料理するの好きだから、今度作り方教えてね!」


『良いよ!

料理が好きなら、うちでバイトしない?』


「バイト!?」


『うん!

来週、俺の両親が南青山でフレンチレストランをオープンするんだけど、ホールスタッフは決まったんだけど、調理補助のスタッフは募集したけど来なかったんだよなぁ。

よかったらやってみないか?』


「私で良いの?」


『ヒカルちゃんさえOKなら。

アッ、でもバンド活動とか有るから無理か。』


「ううん。

バンドはもう組まないの。

ケントさん達の音楽聴いていたら、自分達がプロを目指していたのが恥ずかしくなっちゃった!

今は、ケントさん達の演奏してるのを、聴いてるだけで幸せなの。」


『そっかぁ。

じゃあ、頼めるかなぁ!?』


「私こそお願いしま~す。」


『それから、前に住んでいたボロアパート、もうあそこに住んでいないからね。

今は、店の2階に住んでいるだ。

凄いんだよ。

入り口にはフラワーゲートがあって、直ぐに駐車場になっているんだ。

その奧がレストラン。

地下にワインセラーと倉庫があって、1階がレストラン、テラスもあって、そこで食事も出きるし、そこからフラワーガーデンが広がっているんだ。

料理に使うハーブとかも、そこで育てているし、季節の草花が楽しめる様になっているんだ。

桜の木は5本も植えてあるんだよ。

2階は居住区になっていて、4LDKもあるんだ。

屋上には、バーベキューパーティーなんかも出来るし、石窯もあるんだ。』


「凄いねぇ!

何か、今から楽しみだわ。」


『今度、皆で屋上パーティーやろうな。

もうすぐ、庭に植えてある桜が、満開に咲くから、皆で花見だな!

上から眺める桜の花も、とっても綺麗なんだから。』